国立新美術館で開催中の五美大展も折り返し地点なので少しお伝えしたい事を…。
このタイトルの意味を知りたいという意見がありましたので、
絵だけを純粋に楽しみたい方は読まない方が良いかも知れません。
すみません。
私の絵、「十の四十乗分の一の奇跡」の意味ですが、
北村想さんの舞台の脚本、「想稿・銀河鉄道の夜」から採らせて頂きました。
この私達のいる銀河系には、生物の住めそうな星は十万個くらい
あるそうです。
ですから天文学者は宇宙には生き物がいる筈。と考える。
でも、生物学者の考えでは、私達の体を形作る元素は100種類ほどで、
それを入れ替えて私達を作るのには
十の四十乗の選択肢があるそうです。
それは、百億の百億倍の百億倍のそのまた百億倍の
いちの可能性。
一方宇宙は出来てから百五十億年くらいです。
一秒間に十の二十乗回入れ替えたとしても、
百五十億年では、到底できあがらない。
だから、地球に生命が誕生したのは奇跡としか言いようがない。
と、北村想さんは考えました。
私はそれを知ってとても感動したので、
十の四十乗のいちの奇跡を、絵に精一杯込めて描きたい
という構想でこの卒業制作を描きました。
昨年四年になった時、宮教授が、国立新美術館の壁面を
生かし、縦に大きな作品を制作して欲しいとおっしゃいました。
その時、生命の計り知れない奇跡を描くのには、
大きな画面が合っていると考え、卒業制作迄に三点の
作品を制作しました。
その度に、教授の意見を聞き、どうすればベストな状態に
近づくか試しました。
特に縦長な作品では、寝かせた時と、起こした時の
印象の違いが難しく、最初はそれが出来ていませんでした。
卒業制作は特に大きく、最後に起こした時に
どんな印象になるか、気を遣いました。
貴重な体験だったと思います。
絵の中に描かれているのはカービングキャンドルです。
これは横浜の元町にあるお店、「ベッキーキャンドル」
https://www.candles.jp/carvingcandleさんの
キャンドルを元にしています。
幸い快く許可を頂く事ができました。
銀河鉄道の夜のケンタウル祭りの夜には生と死が
交錯します。その追悼の意味を込めてキャンドルを配置
しました。
この「想稿・銀河鉄道の夜」の中でカンパネルラ少年は、
どんな宗教・科学で、対立してどちらが正しいとか、
間違っているとか議論して結論が出ないかも知れない、
と言っています。
でも、お互いに違う思想、宗教を持った者同士でも、
相手の行動に涙する事もあるだろうと言います。
私の作品を見て、実際の私と意見が違ったり、
思想・宗教(私は無神論者ですが)が異なっていても、
なんらかの感情を持っていただければそれ以上の
幸いはありません。
長文になってしまいましたが、ここまで読んで
下さり、本当にありがとうございました。
1. 無題
無記名の方。
>五美大展で拝見しました。素晴らしい。立ち去り難く暫くウロウロしていました。
拍手ありがとうございます!
何度も見直す価値のある絵になっていれば幸いです。
私も大好きな絵に出会うと、一回会場から
出てやっぱり気になって入り直して
まじまじみたり、挙動不審になります(笑)