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Sketch

主婦兼イラストレーター。 多摩美術大学日本画科所属。

画集の添え書き

2014年に出した電子画集、「天使回路」に、文学作家の
津原泰水先生が付けて下さった後書きをここに掲載します。

もう、2年経ちましたしね。
津原先生は「五色の船」等素晴らしい作品を書かれています。

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目黒詔子画集に寄せて
 目黒さんの画を知ったのは十年も前のことになろうか、たしか編輯者を通じてであり、まずそのデッサン力に舌を巻いた。コンピュータを使った効果を利用しているとの話だったが、なにをどうやっていらっしゃるのか見当もつかなかった。当時、すでに目黒詔子は出来上がっていた。
 そのうちコンピュータを利用したイラストレーション技法が広まり、使わない画家のほうが珍しくなってしまったけれど、未だ目黒さんの域でそれを駆使している画家は見たことがない。僕は音楽にコンピュータを利用するが、楽器を弾きこなせるからこその便利なインターフェイスなのであって、弾けない者、歌えない者が出来合いのパーツを組み合せてみたところで、それは音楽でもなんでもない。ただの雑音に過ぎない。
 このたび改めて目黒さんの足跡を眺め、彼女の視覚の鋭さに、危うく心が折れそうになった。視られる恐怖を味わった。この人に、俺は視られていたのか。
「視える」は宿痾であると僕は思う。獣毛の繊細な輝きが、布の柔らかい閃きが、夥しい緑の蠢きが、一瞬にして視えてしまう人たちがいて、そのうちのほんの僅かな人が、平面にそれらを定着させる指先も持っている。
 目黒さんの足跡を、彼女の世界との戦いの記録のように僕は見る。視覚の鋭さゆえに否応なく襲いかかってくる世界、無数のテクスチュアを、彼女は視て、視て、正確に描くことによって、平伏させてきたのだと思う。そうしてもらってようやっと、僕ら視覚の鈍い者たちが「世界」を味わえるのだ。
 実際にお会いするところの目黒さんは、物腰の穏やかな淑女であり、戦闘的な気配など微塵もない。しかし――いや、だからこそ、僕はその画業の重みに戦慄する。
 仕事で村山槐多や月岡芳年を扱い、クラウス・フォアマンと手を組み、四谷シモンの人形を愛でてきた。まったく同等の緊張感を、目黒さんの画に対しても覚える。絵師とはいかなる者かを、見事に体現してこられた女傑が、目黒さんである。
 画集の発刊に祭しリストを眺めさせていただいたところ、おお、青山学院大学推理小説研究会の先輩、菊地秀行さんの装画を幾つも手掛けられているではないか! 十五年も上の先輩だが、弱冠の僕に優しく、厳しく、接してくださったものだ。そういった存在なくして、小説家津原泰水は生まれ得なかった。なにやら特別なご縁を勝手に感じて喜んでいる。
 目黒さんはきっと少女の頃から特異な、「怖い」人だったのだろう。その怖さに人々が惹かれ、畏怖の念から支援され、ごく自然に画家目黒詔子は生まれたのだと想像する。我々凡人に、眺むる愉悦――それを通じての世界との付合い方を教えてくれる、数少ない存在である。
                                                                                                                                                                    津原泰水
                                                                                                                   画集「天使回路」より。添え書き
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この中の淑女であるというのがちょっと実物と
異なりますが(^_^;Aとてもありがたいお言葉でした。ありがとうございました。

人生で一二を争う嬉しい言葉でした。
後、寺田克也さんに、せりんは上手いと言われた時も嬉しかった。
それは、絵が上手いって訳ではなくて、
より自分の表現に近づいたという意味でそうだという文脈だった
のがとても印象に残りました。

自慢してすみません。なかなか自分に自信を持つのは難しい。
励まして下さった方には心から感謝したいです。
実際作業は孤独です。もの凄い孤独の中から、
何かが産まれる瞬間がある気がしています。

拍手ありがとうございました!
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hさん、拍手ありがとうございました!

妖しいですか?一番の褒め言葉ですよ、ありがとうございます!
それから、
今週の黒尾のあまりの黒さについにジャンプ買ってしまいました。
買わないって言ってたのにこれかよ…って感じですよね。
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拍手[2回]

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コメント

1. 無題

ほんとに自分に自信を持つのって
難しい(;´ー`)┌

でも、微塵も自信がない所からは
何も生まれてこないから
自信に繋がる言葉を頂けるって
嬉しいよねぇ〜!

「怖い」っていうのって
大切よね。
(。・_・。)(。. . 。)ウン

孤独って事とか怖いって事とか

ヒトが群れるる場所とかからは
ちょっと遠ざかったり、したところに
「ソレ」はある気がするよね!

「ソレ」を目指して、いきたいわん♪

せりんちゃんの繊細で鋭い視線と
筆致!
私もこれからも楽しませていただくぅ!

ってか、せりんちゃん、淑女でありますわよ ̄∀ ̄* ニヤッ

Re:無題

てんこちゃん、コメントありがとうございます!

そうなんですよねえ。一回位自信持ちたいです(^_^;A
私が言うと、謙遜はほどほどにしなさいと寺田克也さんに注意
されました(^_^;A

ほんとにね、一人で、作業している時って不思議ですよね。
てんこちゃんが、洋裁の神様が降りて来るって書いてらして、
そうだなあ、って思いました。
頑張るでもないし、努力でもないし、ただ降りて来るんです
よね。その方法は私には良く判らないんですけど、
確かにあります。

てんこちゃん私の実物見たことあるんだから淑女じゃないって
知ってらっしゃるでしょう(笑)単に話題性がない引きこもりの
オタクです(^_^;A

2. 無題

せりんさんとはお会いしたことはないけど、お人柄のわかる紹介文ですね。素敵な方だという確信をさらに深めたよ!
確かに自信を持つって難しいよね(−_−;)
私もそうですよー

Re:無題

バービニーさん、コメントありがとうございます!

いや、本当にオタクのおばさんて感じで(^_^;A
世に言う貴腐人ってやつです(爆)
自信〜〜〜ないです。バービニーさんは自信を持って
いいと思いますよ!
話題とか豊富そうだし、いつも沢山本を読んでらして
凄いな〜〜と思っています(^_^)

3. 無題

じっくり見た上で、自身の言葉で感想を述べられてて…凄い言葉だなぁ…
【ココまで言われたら、恥ずかしいやら、幸栄やらで…悶絶しそうな(自分はそうなってるハズ)】

素直に受け止めてイイと思います。

セリンさんの絵には、影と闇の要素と、少女マンガにある華やかで繊細な部分が同居してる…
それを画面に表現するのに【デッサン→対象物を見る力】が有ったと思います(* ̄∇ ̄)ノ

Re:無題

ひろにゃんさん、コメントありがとうございます!

そうですね!コメントして下さったのが津原先生だったというのも驚きです。
非常に審美眼に優れた小説家さんですので、緊張しました。

優れた絵描きさんは、みんな陰と光の部分を持っているような気がします。
(私除く)
私は、小説も映画もエンターティメント性を重視する方です。
少女漫画は読まないですが、劇画と、リアルな絵の中間位を描ければ
いいなと、思っています(^_^)

プロフィール

HN:
目黒詔子
性別:
非公開

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